前回の記事で、勤務態度・スキルや能力はテレワーク下では見えずらく評価が難しいとお話しました。テレワークに適した人事評価を考える上で、まずは上司が部下の働きぶりをつぶさに観察できないことを大前提とする必要があります。ですが、これはテレワーク下では定性的な評価ができないということではありません。テレワークで把握できないことを無理やり評価しようとするのではなく、評価項目をテレワークに合わせた形に設定すれば、正しく評価を行うことは十分可能になります。

今回の記事では、テレワーク就業率 100%の当社の評価制度をご紹介します。

イマクリエの評価制度

当社では、管理職以下のメンバーに対する人事評価として、「簡易評価+クイックフィードバック」を行っています。

イマクリエの人事評価制度「簡易評価+クイックフィードバック」とは?

WHAT(何を評価する)?
→成果+目に見える成果に至るプロセス

WHEN(いつ評価する)?
・プロジェクトベースで仕事をしているメンバー
→担当業務あるいはプロジェクトが完了したタイミング
・継続的な業務を担当しているメンバー
→1か月に1度

WHO(誰が評価する)?
・案件を担当するプロジェクトマネージャー
・メンバーをサポートするリーダー

HOW(どのように評価する)?
評価項目に対し、それぞれ三段階評価と、簡単なフィードバックコメントをつける

 

WHAT(何を評価する)?

テレワーク下での評価は「成果」のみでするべきだとよく言われます。これは、テレワークで見えることは成果だけという考えに基づいていますが、実際は「成果」以外にもテレワークで把握可能なことはあります。例えば、業務スピードや生産性、適切な報連相を行っているか、自発的にチームメンバーに対し情報共有を行っているかなどの「成果に至るプロセス」は、工夫次第でテレワークでも見ることができます。
当社では成果・実績に加えて、テレワークでも把握可能な「成果に至るプロセス」のうち、職種ごとに、業務遂行をする上で最も重要な要素を評価項目に盛り込んでいます。成果に至るプロセスを評価する際には、評価基準を事前にしっかりと定義して、評価する人によって評価のバラツキや不公平が出てしまうことのないように設計しています。
一方、「頑張っている」・「真面目」といった態度や姿勢、潜在能力や資質はテレワークでは見極めることが難しいため、当社では、自社で開発した「テレワーク適応力診断」を使って見える化し、これを評価ではなく研修・育成の観点で中長期的に見ていくことにしています。

テレワークでも見えること テレワークで見えにくいこと
成果・実績 やる気・意識
成果に至るプロセス
(例:業務スピード、生産性、コミュニケーションの質など・・・)
働きぶり・態度・姿勢
潜在能力・資質

 

WHEN(いつ評価する)?

当社の評価制度では、評価の頻度とスピードに重きを置き、担当したタスクやプロジェクトが終わったタイミング、少なくとも1か月に一度は評価とフィードバックがもらえる「簡易評価+クイックフィードバック」の仕組みを構築しています。
クイックフィードバックを取り入れている理由や効果については、後編で詳しくご紹介します。

 

WHO(誰が評価する)?

簡易評価とクイックフィードバックは、案件を担当したプロジェクトマネージャーおよびメンバーのサポートを行うリーダーが行います。
当社では、メンバーの多くが複数の異なる案件やプロジェクトにアサインされて仕事を行っています。案件ごとに異なるプロジェクトマネージャーやリーダーと仕事をすることになるため、結果として色々な人から評価をもらうことができます。これにより、一人の評価者による属人的な判断で評価が決まることを防ぐことができますし、評価を通じた育成にもつながっています。

 

HOW(どのように評価する)?

タスクやプロジェクトが終了するたびに評価が行われるので、評価者への負荷が大きくなってしまっては、人事制度としてはうまくありませんよね。そこで、評価項目に対して☆☆☆の3段階評点をつけるだけの非常にシンプルな「簡易評価」と、良かった点や今後改善してほしい点について短いコメントを添えるだけの「クイックフィードバック」の構成になっています。被評価者一人の評価にかかる時間は、1~2分程度が目安です。

最終回となる次回は、クイックフィードバックについて掘り下げてご説明します。

 
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